職場のコミュニケーション術

仕事・ビジネス

職場の人との付き合い方 

 最近職場での人間関係のお悩みの相談を受けることがよくあります。お話を聴いていると、自分の特徴や相手の特徴が理解できず、人間関係がぎくしゃくしていることも多いようです。
 という訳で今回は、職場でのコミュニケーション術について考えてみたいと思います。

 職場で仕事をする際は、チームで行ったり、他者と協力して行うことが多くあります。
 チームで仕事をするとなると、いろいろなタイプの人がいるので、性格や特徴、タイプを理解・把握し、円滑に仕事を進めていくことが必要になってきます。

 コミュニケーション理論のひとつに、アメリカの産業心理学者のデビッドメリルが提唱した『ソーシャルスタイル理論』がありますが、ビジネスの現場ではこの理論を利用し、よくコーチングが行われているようです。
 『ソーシャルスタイル理論』では、コミュニケーションの方法を自己主張の強弱と感情表見の強弱に応じて、

・Expressive/プロモーター(直感・感覚・社交派)
・Driving/コントローラー(前進・行動・現実派)
・Amiable/サポーター(温和・協調・友好派)
・Analytical/アナライザー(分析・思考・理論派)

の4つのタイプに分類しています。

 4つのタイプを知る

 ところで、4つのタイプはどのような特徴があるのでしょうか?
 特徴をまとめ、紹介していきたいと思います。

Expressive/プロモーター(直感・感覚・社交派) 

自己主張も感情表現も強いタイプ。
周囲に影響を与えたい欲求や注目されたい欲求が強くあります。そのため、新しいか、楽しいか、人への影響力が大きいかで物事を判断することが多くあります。

身振り手振りで大きな声で話し、話し好きでアイデアが豊富、周囲はいつも賑やかなのが特徴です。どちらかというとリーダー気質で場を仕切るのが得意です。新しいメンバーとも問題なくコミュニケーションが取れ、人を巻き込んで新しいことや楽しいことをすることも得意です。

一方、物事を淡々と計画通りにすすめたり、同じことを繰り返したり、細かな作業を丁寧に淡々と行うことは苦手ですぐ飽きてしまいます。時々感情的になったり非現実的になる傾向もあるようです。資料を読むことはあまりしないので、資料を読んでおいてとお願いしてもあまり期待できません。


このタイプの人は周囲に影響を与えたい欲求が強いので、会話をしながら相づちを打ったり、分かりやすく反応したり、褒めたり、自由に話ができるような雰囲気を作ると力を発揮してくれるようです。

Driving/コントローラー(前進・行動・現実派)

自己主張は強いが感情表現は弱いタイプ。
自分で決めたい欲求、結果を早く出したい欲求、支配したい欲求が強くあります。

リーダー気質が強いタイプで、無駄が嫌いで結果を早く出すために、人間関係や気持ちよりも仕事やデータや事例を重視します。また、判断、決断、行動ともにスピーディーで、仕事のモチベーションや向上心も高い傾向にあります。

一方、人から指示されるのが嫌いで、自分の軸がしっかりあり自説にこだわるため、人との対立も多いようです。早く結果を出したいという気持ちから、相手から仕事を巻き取り周りから怖がられることも。自分や人の気持や感情に目を向けることが苦手なため、相手の気持ちを察することができず、悪気なく人を傷つけてしまう人もいるかもしれません。

このタイプの人は、自分で決めたい欲求が強いので、全面的に相手に任せて自由に動いてもらうとよいかもしれません。無駄が嫌いなので、話す時は単刀直入に結論から話し、提案するときは複数選択肢を出して相手が選べるようにすると力を発揮してくれます。

Amiable/サポーター(温和・協調・友好派)

自己主張は弱いが感情表現は強いタイプ。
人に貢献したい欲求、周囲と調和したい欲求が強くあります。

人の心に敏感で、まわりの人間関係を最優先に考えて、みんなが穏やかに過ごせるように行動する傾向があります。一人で仕事をするより周りと一緒に仕事をするのが好きなタイプで、みんなで一つの目標に向かいながら、自分はサポート役に徹することも多いかもしれません。

一方、自分のことよりも周りを優先してしまいNOが言えなかったり、つい忙しそうな人の仕事を引き受けたり、断り切れず仕事を押し付けられてしまうことも多いかもしれません。

このタイプの人は人間関係重視のため、話をしっかり聴いているという姿勢を示すことが必要です。また、困っている周囲に手を差し伸べてしまう傾向やNOと言えない傾向があるので、守備範囲を超えて業務を抱え込ませすぎないよう、本音を引き出しお互いの気持ちを合意確認しながら仕事を進めると力を発揮することができます。
人に感謝の言葉をもらえるとさらにやる気が出るタイプなので、周囲に役立つことや感謝の言葉を伝えるとよいかもしれません。

Analytical/アナライザー(分析・思考・理論派)

自己主張も感情表現も弱いタイプ。
データ・事例収集分析欲求、正確性を求め失敗したくない欲求が強くあります。

情報を集めてコツコツと計画通りに進めることが得意で、細かく丁寧に規則立てて仕事をします。しっかり考え分析を行うので、決断までに時間がかかり行動もゆっくりです。石橋をたたいてリスクを避けた行動をするため、慎重派・真面目との印象が強いタイプです。

一方、会議で発言することはあまりなく、冷静に話を聴いていますが、意見を求められても自分の意見をうまく表現することは苦手です。また、臨機応変や曖昧な中でとりあえずやってみるなどは苦手です。多くの人から注目を浴びるのも苦手なため裏方のほうが向いています。

このタイプの人は完璧主義で正確性重視で失敗したくないという欲求が強いので、曖昧な中で仕事をすすめることが苦手です。できるだけ明確に指示をし、なぜあなたに頼むのか等理由を明確に示すと力を発揮してくれるようです。また発する言葉をじっくり待ってあげることも大切です。

まとめ

 タイプが限定できなと思うことや、当てはまる部分、当てはまらない部分もあるなと思われることもあるかもしれませんが、おおまかに自分や相手の傾向をとらえることで、見えてくるものがあります。
 自分のタイプや相手のタイプを知り、タイプに合ったコミュニケーションを取り、特性をうまく活用することは、人間関係の悩みを解消し、コミュニケーションを円滑にするヒントになるかもしれません。

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